【実務で使える】『やさしい経営改善の教科書』書評|普通の会社になるだけで利益は出る!【BookLog.82】

経営・会計・資金繰り

1. この本を読むべき理由

「なぜ頑張っているのに利益が出ないのか?」
「赤字続きだが、どこから手をつければいいか分からない…」

経営者として、このような悩みを抱えたことはないだろうか。
僕自身、中小企業診断士として日々現場に立ち会うなかで、こうした声を山ほど耳にしてきた。そして、その多くは“特別な経営戦略”ではなく、「当たり前のことを、当たり前にやる」ことで改善できるケースがほとんどだ。

本書『やさしい経営改善の教科書』は、まさにその“当たり前”を徹底するための実務指南書だ。
「普通の会社になる」ことこそが最初の目標。著者の田中孝樹氏は、再生コンサルタントとして200社以上の赤字企業を黒字化してきた実績をもとに、誰にでも再現可能な改善ステップを丁寧に教えてくれる。

「もっと早く読んでおけばよかった」——本書を読み終えたとき、そう思う経営者は少なくないだろう。

2. 書籍の概要:著者・出版背景・構成と対象読者

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  • 書籍タイトル:やさしい経営改善の教科書
  • 著者:田中孝樹(中小企業再生支援の現場経験20年以上)
  • 出版社:クロスメディア・パブリッシング
  • 発行年:2022年
  • ページ数:240ページ前後
  • ジャンル:中小企業向け経営実務/改善指南書

主な対象読者

  • 利益が出ていない中小企業経営者
  • 赤字体質からの脱却を目指す個人事業主
  • 経営を任された部門責任者・後継者
  • 士業・コンサルタントで中小企業支援をする立場の方

書籍構成(抜粋)

  1. 儲からない会社のチェックリスト
  2. 組織のつくり方
  3. 数字の見える化と管理資料
  4. 予実管理の方法
  5. 売上・原価・経費の改善
  6. 従業員の巻き込み方 など

読みやすく、かつ1章ずつ即実行できる構成になっているのが特徴だ。

3. 要点まとめ

経営改善は「普通の会社」になることから始める

著者は「東大合格ではなく、偏差値50を目指そう」と繰り返す。
つまり、飛び抜けた利益体質をいきなり目指すのではなく、まずは平均点の会社——つまり安定的に黒字を出せる会社になることが最初の目標なのだ。

改善の順番は明確に:組織→可視化→目標設定→会議→現場改善

本書の骨格は極めてシンプルだが、明確な順番で構成されている。

  1. 組織図を作り、責任の所在を明確にする
  2. 月次試算表や管理資料を整備し、数字を見える化する
  3. 売上・原価・販管費の改善目標を立てる
  4. 会議で目標と実績を確認・議論する
  5. 売上アップ・原価削減・経費節減の具体策を実行する

どれか1つではなく、すべてが連動する仕組みとして機能する。

「難しい改善」ではなく「できる改善」を積み重ねる

利益改善のために挙げられる目標は以下のように非常に現実的だ。

  • 売上:2%アップ
  • 原価:3%削減
  • 販管費:5%削減

「これならできそう」と思わせる設定だからこそ、実際に行動が起きる。著者の強みはここにある。

経営者の「言い訳」を可視化し、潰す

「うちはニッチだから」「業界が特殊で…」——こうした言い訳を、著者は全力で否定する。
事実、著者が関わった200社以上の事例では、例外は存在しなかった。

「御社は“普通”の会社です。だから“普通”に改善できます。」

この強いメッセージが、読者に必要な覚悟と勇気を与えてくれる。

4. 印象に残った言葉・フレーズ

「利益を出すこと自体は、難しくはない。しかし、真剣に取り組まないと実現できない」

この一文は、本書の全体を象徴するフレーズだ。
つまり、やるべきことは“簡単”だが、それを“やるかどうか”が最大の壁だという現実を突きつけている。

また、以下のフレーズも強烈だ。

「まずは偏差値50を目指しましょう」

これは多くの中小企業が“できていないだけ”であり、“できる状態”を目指せばいい、という勇気を与える言葉だ。

5. 中小企業診断士としての考察・経営者視点での価値

僕自身、中小企業診断士として多くの企業に関わってきたが、「どこから手をつけていいか分からない」という声を数多く聞いてきた。
この本がすごいのは、“経営改善の地図”を誰にでも分かる言葉と順番で提示してくれている点だ。

  • 組織図を作る
  • 試算表を毎月見る
  • 原価率と販管費率を数%改善する
  • 会議で進捗を確認する

どれも奇抜な施策ではない。だが「できていない会社」が多い。そして、できていない限り、どれだけ素晴らしい商品やサービスがあっても、利益は出ない。

この本を手にした読者は、自社がなぜ利益が出ないのか“論理的に説明がつくようになる”。これこそが本書最大の価値だ。

6. この本が挑戦者に与える影響・実践で活きる場面

本書が真に力を発揮するのは、以下のような場面だ。

  • 売上はそれなりにあるのに、なぜか利益が残らない
  • 部門責任者が育たず、社長が何でも指示している
  • 試算表を「税理士任せ」で活用していない
  • 経費や原価に無頓着で「どんぶり勘定」が染みついている

こうした企業において、経営者は「何となくの違和感」を抱えているが、明確な打ち手が見えていない。本書はそれを“構造的に整理し、分解し、具体策に落とし込む”という流れで解決してくれる。

しかもその手法は属人的でなく、誰でも実践できる内容で構成されている。だからこそ、後継者や部門長と一緒に読み、共通言語として活用するのも効果的だ。

7. 誰におすすめか?どう使えば効果的か?

推奨対象

  • 経営3年目〜10年目の中小企業経営者
  • 創業して初めて“壁”にぶつかった個人事業主
  • 経営改善に初めて着手する士業(税理士・社労士・診断士)
  • 部門長育成に悩む後継社長

効果的な使い方

  • 読みながら、自社の現状と照らし合わせてチェックする
  • 章ごとに経営幹部で輪読し、対策を議論する
  • 「儲からない会社チェックシート」で現状把握→改善活動に着手

特に、「組織図」「損益モデル」「日報」「会議資料」などのテンプレートをそのまま社内に取り入れるだけでも、経営の質が大きく変わるはずだ。

8. 関連書籍との違いと併読提案

書籍名特徴『やさしい経営改善の教科書』との違い
『数字で見る経営』財務分析の基本を解説数字の読み方に特化しており、行動変容までフォローしない
『トヨタの問題解決』改善活動の具体プロセス製造業中心、汎用性に欠ける
『エクセレント・カンパニー』経営理念・組織文化の構築中小企業には抽象度が高く再現性に乏しい
『ドラッカー名言集』経営哲学と視座の高さ実務にすぐ転用できる内容ではない

『やさしい経営改善の教科書』は、上記のような「視座は高いが抽象的な経営書」と、「改善手法は具体的だが一部業種特化」の中間に位置し、幅広い中小企業にとって実行可能かつ再現性のある書である。

9. 読者の悩み別「この本の使い方ガイド」

悩み推奨章・活用方法
毎月利益が出ない第1〜3章:組織整備と数字の見える化から
会議が形骸化している第5章:予実管理と会議体の整備
原価が高く利益が出にくい第7章:製造部門と仕入原価の見直し
モチベーションが低下している第8章:従業員との対話、社風づくり
コスト管理が甘い第4章と第6章:経費管理と資金繰りの可視化

10. 読後すぐに実践できる「5つの行動リスト」

  1. 最新の組織図を作る(責任者と部下を明記)
  2. 毎月の試算表を入手し、全社員と共有する
  3. 「儲からない会社チェックシート」で自社診断
  4. 売上+2%、原価▲3%、経費▲5%の仮目標を立てる
  5. 来月から“数値に基づく会議”を始める

どれも明日からでも始められる内容であり、すぐに“利益体質”への第一歩を踏み出せる。

11. まとめ:この本が挑戦に与える希望と再現性

『やさしい経営改善の教科書』は、成功法則を語る本ではない。
あくまで「凡事を徹底する」ことで、どんな中小企業でも利益を生み出せる“構造”を作るための一冊だ。

  • 特別なノウハウは必要ない
  • 特別な才能も必要ない
  • 必要なのは「やる」と決める覚悟だけ

だからこそ、この本はすべての中小企業経営者にとっての“再出発の書”になりうる。

読了後、あなたは気づくだろう。
「やらない言い訳」よりも、「やる手順」のほうが明確で、再現性があることに。

12. 書籍購入リンク

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