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【書評】『ドリルを売るには穴を売れ』|「売る力」が劇的に変わるマーケティング思考とは?vol.2
著者:佐藤義典 | 出版社:青春出版社
この本を読むべき理由:商品が「売れない」と悩むすべての挑戦者へ
「いい商品なのに、なぜ売れないのだろう?」
これは多くの起業家や中小企業経営者に共通する悩みではないでしょうか。
僕自身、中小企業診断士として数百社と関わるなかで、売上不振の原因が「マーケティングの欠如」にあるケースを何度も見てきました。
本書『ドリルを売るには穴を売れ』は、まさにその問題に対する明快な答えを与えてくれます。
「売るとは、モノではなく価値を届けること」——その核心を、理論とストーリーの両面からわかりやすく教えてくれる一冊です。
書籍概要:マーケティングを「体得」するための実践入門書
著者は、MBA取得の中小企業診断士・佐藤義典さん。
実践経験に裏打ちされたロジックに加えて、読みやすく親しみやすい文体でマーケティングの基本を教えてくれます。
特徴的なのは、小説形式のストーリーが組み込まれている点。
経営再建を迫られたレストラン事業の改善を通じて、実際に「売れる仕組み」を学ぶ構成です。理論を学びながら、リアルな現場を追体験できる設計になっています。
内容は以下の5章構成:
- 第1章:あなたは何を売っているのか?(ベネフィット)
- 第2章:誰があなたの商品を買うのか?(セグメンテーションとターゲティング)
- 第3章:あなたの商品でなければならない理由は?(差別化)
- 第4章:どのようにして価値を届けるか?(4P:商品・価格・販路・広告)
- 第5章:戦略は美しくなければならない(ディズニー事例)
要点まとめ:売れる仕組みを作るための5つのメッセージ
① モノではなく「価値」を売れ(ベネフィット)
本書のタイトルにもなっている「ドリルを売るには穴を売れ」というフレーズは、マーケティングの本質を突いた有名な格言です。
顧客がドリルを買う理由は「穴を開けたい」から。つまり、商品そのもの(機能)ではなく、得られる価値(結果)にお金を払っているのです。
これは非常に重要な視点です。
例えば、健康食品を売っているつもりでも、顧客が求めているのは「体調改善」や「美容効果」であり、モノではない。僕が支援している補助金コンサルでも「申請書の作成支援」ではなく「資金獲得」というベネフィットを伝えることが成約率に直結します。
起業家は、つい自分の「商品」を売ろうとします。でも、売るべきは「顧客の未来」なのです。
② ターゲットを絞らなければ、誰にも響かない
「セグメンテーション」と「ターゲティング」という言葉は一見難しそうですが、意味はシンプル。
市場を分類し、自分の商品がもっとも響く層を「選ぶ」ことです。
多くの起業家は、あれもこれも売ろうとします。でも、それでは誰にも届かない。
僕が経営する事業でも、ターゲットを「初めて補助金を使う小規模事業者」と定めてから、訴求が劇的に刺さるようになりました。
売る相手を明確にする勇気が、マーケティングのスタートラインです。
③ 「選ばれる理由」を明確にする(差別化)
顧客は「A社とB社、どちらが自分に合うか」を選んでいます。
そのとき、他と違う「明確な差」がなければ選ばれることはありません。
本書では、「機能」「感情」「利便性」といった差別化軸をどう見つけるか、具体的に解説しています。差別化のヒントは、競合ではなく「お客さんの頭の中」にあるというのが本書の主張。
これは、自社の強みを見つけられず迷子になっている人にとって、大きな指針になるはずです。
④ 4P(製品・価格・販路・プロモーション)で戦略を実行せよ
ベネフィットを定め、ターゲットを絞り、差別化戦略が見えたら、いよいよ実行です。
そのとき考えるのが「4P」。
- Product(何を売るか)
- Price(いくらで売るか)
- Place(どこで売るか)
- Promotion(どう伝えるか)
たとえば、僕が販売している動画講座では、Productに「採択された計画書の雛形」を付け、PlaceはUTAGEやLINE、PromotionはYouTube広告に絞っています。価格も市場相場より安くしすぎないよう調整しました。
このように、4Pを一貫して設計することで、価値がブレずに届くのです。
⑤ 美しい戦略は、流れるように自然である
第5章では「ディズニーリゾートの事例」をもとに、美しい戦略とはどういうものかが語られます。
顧客の行動、体験、感情がすべてスムーズにつながっている状態。それが「戦略の美しさ」だと著者は語ります。
経営者なら誰もが、「美しい戦略」を描いてみたいと思うはずです。
印象に残った言葉・フレーズ
「人はモノではなくベネフィットを買う。ドリルではなく、穴を買っているのだ。」
「ターゲットを絞ることは、売れなくなるリスクではなく、売れるための第一歩である。」
「マーケティングは会議室で起きているのではない。あなたの周りで起きている。」
中小企業診断士としての考察:これは「経営の型」を学べる教科書だ
本書は、表面的には「売れる仕組み」を教える入門書ですが、その本質は「経営戦略の型」を学べる教科書です。
多くの中小企業では「感覚的な経営」が蔓延しています。数字に弱く、売れる理由も曖昧。そんな現場に本書のような体系的フレームが加わるだけで、施策の精度が大きく変わります。
しかも、堅苦しいフレームの羅列ではなく、ストーリーで感情と論理の両方に訴える構成。これは診断士にとっても、顧客指導で使いやすい実践書です。
この本が挑戦者に与える価値:迷いを断ち切る「思考の武器」
僕自身、独立当初に「どうやって商品を売ればいいかわからない」不安に直面しました。
そんな時にこの本の「ベネフィット思考」に出会ってから、すべてが変わりました。
挑戦するということは、常に不確実性の中に身を置くこと。でも、フレームを持っていれば、迷いの霧を晴らす羅針盤になります。
本書は、挑戦者の背中を「理論と実例」で押してくれる、頼れる一冊です。
誰におすすめか?どう使うか?
- ✅ 初めて起業する方:事業コンセプトの設計に最適
- ✅ 現役経営者:売上が伸び悩む理由を根本から見直せる
- ✅ 副業・フリーランス:自分の商品を「どう売るか」が見える
読むだけでなく、自分のビジネスに当てはめて「ワーク」することで、より深い効果が得られます。
1回読む→要点を抜き出す→自社でワーク→再読する。このサイクルを強くおすすめします。
まとめ:マーケティングは「売れる人の思考習慣」だった
僕たちが目指すべきは、「売る技術」ではなく「売れる人になる思考習慣」です。
本書はその入り口として最適であり、多くの挑戦者にとって人生を変える一冊になるでしょう。
この本が、あなたの挑戦の大きな一歩になることを願って——。
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