※この記事にはアフィリエイト広告が含まれている場合がございます。

戦略・マーケティング

【書評】『小さな会社★儲けのルール』で学ぶ、弱者が勝つための7つの経営戦略|ランチェスター戦略の実践書【BookLog.11】

2025年4月11日

1. 導入:この本を読むべき理由

「起業したけど思うように利益が出ない」「営業がうまくいかない」「自分のビジネスが他社に埋もれてしまう」──そんな悩みを抱えている方にこそ、この『小さな会社儲けのルール』は刺さる。

僕自身も、中小企業診断士として数多くの小規模事業者と接してきた中で、「資金力も人材も限られた状態で、どうやって勝てばいいのか?」という問いは、避けては通れないテーマだった。大企業の成功モデルやMBA的なフレームワークは、実務の現場では役に立たないことが多い。

本書は、そうした中小零細企業の「現実」に対して、明快で実行可能な“戦略の土台”を与えてくれる。単なるビジネス書ではなく、挑戦者のバイブルともいえる内容だ。

2. 書籍の概要:著者・出版背景・構成と対象読者

本書の著者は、ランチェスター戦略をベースにした経営理論の日本の第一人者・竹田陽一氏と、実践型コンサルタントの栢野克己氏。両者とも机上の空論を排し、現場主義を貫いてきた経営支援の実績を持つ。

2002年に初版が出版され、累計12万部を突破するロングセラーとなった本書は、2016年に事例や構成を大幅に刷新し、より実務に使える「新版」として再登場した。

本書は以下の構成から成る:

  • 戦略1:商品戦略
  • 戦略2:地域戦略
  • 戦略3:客層戦略
  • 戦略4:営業戦略
  • 戦略5:顧客戦略
  • 戦略6:時間戦略
  • 戦略7:組織と自己戦略

対象読者は、以下のような人たちだ:

  • 起業1〜3年目の個人事業主
  • 店舗ビジネスや士業、フリーランス
  • 売上が頭打ちになった中小企業経営者
  • 複数の社員を抱え、次の打ち手を模索している社長

3. 要点まとめ

戦略1:商品戦略「弱者は一点集中で勝負せよ」

本書が繰り返し訴えるのは、「小さな会社は、商品を一点に絞るべきだ」ということ。万人受けを狙うな、では何を絞るか? それは、競合があまり手をつけていないニッチ、かつ自分が熱量を持てる領域だ。

たとえば、著者が挙げる成功例として「短髪専門の理容室」「障がい者向け旅行専門の旅行会社」など、分かりやすく尖った業態が紹介される。商品を絞ることで、顧客から選ばれる理由が明確になり、紹介やリピートにもつながる。

戦略2:地域戦略「広げるな、狭く深く掘れ」

強者は全国展開できる。だが、弱者は「範囲」を限定しなければ生き残れない。本書では「営業エリアを1/10にする」という極端な戦略が登場する。具体的には、自転車で回れるエリア・1駅圏内・人口1万人の町など、超限定型戦略だ。

「東京で三流になるより、地元で一流になれ」という考え方は、多くの読者にとって目からウロコだろう。

戦略3:客層戦略「相手を絞れば、自分も楽になる」

万人に売ろうとすることは、全員を敵に回すということ。著者は「お客の顔を明確にせよ」と繰り返す。美容室専門の税理士や、うつ病専門のカウンセラーなど、明確なターゲティング事例が豊富に紹介されている。

また、「自分の顔と性格に合った相手を選べ」という提言もあり、これは特に士業やコンサルタントには刺さる。

戦略4:営業戦略「営業に自信がない人こそ読め」

営業が苦手な人ほど、この章に救われるはずだ。なぜなら、「営業=訪問」ではなく、「見込み客を作る仕組み」「継続的に接触する導線」が営業そのものであるからだ。

ハガキ営業、イベント営業、紹介促進の方法、さらには「断られにくい訪問方法」まで、具体的かつ再現性のある手法が紹介されている。

戦略5:顧客戦略「感謝でリピートを生む」

リピートを作るには、商品力や価格競争ではない。「感謝を伝える仕組み」が鍵だと著者は断言する。具体的には、手書きのハガキ、季節の挨拶、定期イベントなど。これは「顧客との関係性構築」に直結する。

顧客満足よりも「感動」を届ける。この一言が、読者の行動を変える。

戦略6:時間戦略「3倍やれ。才能より時間だ」

小さな会社にとって「効率化」は幻想だと著者は言う。まずは圧倒的な時間投下、つまり「誰よりも動き、考え、接触する」ことで突破口が開ける。

ここでは、「長時間労働」を推奨しているのではなく、「戦略的に時間を費やす」ことの重要性を説いている。時間は、最もコストゼロで使える武器なのだ。

戦略7:自己戦略と継続力「才能より、続ける才能」

成功者に共通するものは何か? 才能でも学歴でもない。「やめないこと」だ。本書の最終章では、著者自身の失敗談や継続の苦しみが赤裸々に語られている。

起業してから10年続くのは全体の2割弱というデータも提示される。「辞めたくなったとき、もう一度この本を読め」というメッセージが心を打つ。

4. 印象に残った言葉・フレーズ

「念ずれば花開く、なんて幻想だ。まず念じ、確信し、行動し、伝え、頼み込む。それでやっと花は咲く」

この言葉は、「覚悟の行動」を求められる起業家にとって、非常に重要な教訓だ。思うだけでは何も始まらない。行動し、伝え、お願いして、やっと何かが動き出すのだ。

5. 中小企業診断士としての考察・経営者視点での価値

僕自身、複数の業種・規模の事業者を支援してきたが、成果が出る事業者には共通点がある。それが「商品を絞っている」「対象エリアを明確にしている」「誰に売るかが定まっている」など、本書で述べられている要素だ。

また、士業のような無形サービスでは、「客層戦略」が極めて有効であることも体感している。僕のクライアントにも「歯科医院専門の社労士」として成功している人がいる。

6. この本が挑戦者に与える影響・実践で活きる場面

  • 起業時の事業計画作成時に
  • 商品やメニューの整理に悩んだときに
  • 顧客離れやリピート率の低下を感じたときに
  • 忙しいのに利益が出ない理由を分析したいときに

まさに、PDCAのP(計画)とC(チェック)を助ける一冊だ。

7. 誰におすすめか?どう使えば効果的か?

誰におすすめか?

  • 開業1〜3年の事業者
  • コンサル・士業・講師業などの無形サービス提供者
  • 店舗ビジネスを立ち上げたい人
  • 地元密着型で地域に根差した商売を志す人

どう使えば効果的か?

  • 読みながらワークシート的に各章の問いに答えていく
  • 自社の戦略設計を本書の「7原則」に沿って見直す
  • 定期的に再読し、自分のブレを正す“経営の軸”とする

8. 関連書籍との違いと併読提案

書籍特徴本書との違い
『ドリルを売るには穴を売れ』顧客視点のマーケティング本書は戦略設計が中心
『弱者の戦略』竹田陽一理論中心のランチェスター戦略書実例中心で実務寄りなのが本書
『小さな会社の稼ぐ技術』実務施策に特化戦略軸が弱く補完的に使える

9. 読者の悩み別「この本の使い方ガイド」

悩み推奨章活用ポイント
商品が売れない戦略1尖った商品設計のヒントが満載
顧客が定着しない戦略5ハガキ、感謝戦略を今すぐ導入
営業に自信がない戦略4見込み客作りの仕組みから学べる

10. 読後すぐに実践できる「5つの行動リスト」

  1. 自社商品・サービスを「1つ」に絞り、それをキャッチコピー化する
  2. 地域を「30分以内」「1駅圏内」などに限定し、全力営業
  3. 客層を「属性×悩み」で定義し、対象外を思い切って捨てる
  4. 成約後、必ずハガキや手紙で感謝を伝える仕組みを導入する
  5. 1日12時間、自社の改善・集客に集中する時間を週3日設ける

11. まとめ:この本が挑戦に与える希望と再現性

経営とは、シンプルな戦略を、地道に徹底すること。『小さな会社儲けのルール』は、派手なノウハウではなく、挑戦者の足元を照らす実直な戦略の道しるべだ。

どんなに小さくても、武器の使い方を知っていれば勝てる。再現性と信頼性の高い戦略が詰まったこの本は、起業家の必携バイブルである。

12. 書籍購入リンク

2025年4月人気記事

2025年4月にアクセスが多かった人気の書籍をご紹介します。

1位:超鬼速PDCA

2位:沈黙のWEBマーケティング

3位:ゼロ秒思考

Copyright© 読理要約 , 2025 All Rights Reserved.