目的ドリブンの思考法|成果を出すリーダーが実践する「目的→目標→手段」の超実践思考術【書評】『冒険する組織のつくりかた』|心理的安全性と目的志向で進化する“新時代の組織論”【BookLog.72】

マインドセット・自己啓発

1. この本を読むべき理由

「忙しいのに、成果が出ない」──そんな悩みを抱えているすべての起業家、個人事業主、経営者、そしてビジネスリーダーに読んでほしい一冊です。

僕たちは日々、無数の業務に追われています。「この資料を作らないと」「今月の売上目標をどうにかしないと」そんな“手段”に忙殺される中で、「そもそも何のためにやっているのか?」という“目的”を見失いがちです。

本書『目的ドリブンの思考法』は、戦略コンサルタントである著者・望月安迪氏が、仕事の本質を突き詰めた上で導き出した「目的→目標→手段」という思考のピラミッドを、極めて実践的かつ体系的に伝えてくれる一冊です。曖昧な行動ではなく、確実に成果を出すための「型」を身につけたい人にとって、まさに実務に直結する指南書となっています。

2. 書籍の概要:著者・出版背景・構成と対象読者

  • 著者:望月安迪(もちづき・あんでぃ)氏は、デロイトトーマツコンサルティング合同会社のディレクターとして活躍する戦略コンサルタント。
  • 出版背景:実務家として数多くのプロジェクトに携わる中で、再現性高く成果を出すリーダーには“ある共通点”があることに気づき、それを「型」として誰もが使えるようにしたのが本書です。
  • 構成
  • 第1〜3章:目的・目標の基本的な考え方
  • 第4章:手段の重要性とその使い方(5つの基本動作)
  • 第5〜9章:実務での応用──認知・判断・行動・予測・学習
  • 終章:思考の地図(問いの構造)と活用の総括
  • 対象読者
  • 起業準備中〜現役の個人事業主やフリーランス
  • 士業、中小企業経営者
  • 社内で新規事業を任されている中間管理職やプロジェクトリーダー

3. 要点まとめ(3〜5項目をそれぞれ###見出しで解説)

目的・目標・手段を明確に区別する

本書では、「目的(何のために)」「目標(何を達成するか)」「手段(どうやって達成するか)」の三層ピラミッド構造を提示しています。この区別が曖昧なまま進めると、努力が空回りし、成果に結びつきません。明確に構造化することで、行動に一貫性が生まれ、チームを巻き込む力にもなります。

「型」としての戦略的思考

単なるフレームワークではなく、現場で体得すべき「型」として戦略的思考を定義しています。5つの基本動作(認知・判断・行動・予測・学習)を用いて、実際の業務に落とし込むプロセスが明確に解説されています。

非連続な責務を乗り越える力

リーダーに昇格したばかりの人が直面する“非連続な責務”──つまり、今まで経験のないレベルの判断や意思決定、組織を導く行動が求められる状況において、本書は強力な羅針盤になります。

戦略と実行の架け橋「Executable Strategy」

「戦略は絵に描いた餅になりやすい」という現場の声に対し、本書は“実行可能な戦略(Executable Strategy)”を重視します。そのための問いの構造化や、意思決定の筋道の作り方が豊富に紹介されており、絵空事にならない実践的思考法です。

8. 関連書籍との違いと併読提案

本書『目的ドリブンの思考法』は、思考の“起点”を問い直すという点で、他のビジネス書と明確な差別化が図られています。似たテーマを扱う書籍と比較すると、以下のような違いがあります。

書籍名主な内容本書との違い
『7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー個人と組織の原則的成功原理原則を重視するが、目的→目標→手段の設計論は薄い
『イシューからはじめよ』安宅和人本質的な課題を見極める問題設定に特化しており、目標達成プロセス全体を扱っていない
『ゼロ秒思考』赤羽雄二メモ書きを通じた思考整理思考速度にフォーカスしており、体系的な構造設計には弱い

併読におすすめの本:

  • 『イシューからはじめよ』:問題発見力を磨きたい人に。
  • 『実行の4つの規律』:戦略の実行段階を補完。
  • 『1分で話せ』:思考を伝える技術と併せて読むと強力。

9. 読者の悩み別「この本の使い方ガイド」

読者タイプ主な悩み推奨アプローチ
起業準備中の人やることが多く、何から手をつけるか混乱している第1〜3章を読んで「目的→目標→手段」の型を紙に書き出す
中小企業経営者部下に方向性をうまく伝えられない第6〜8章で“問い”を活用し、意思統一の場で使う
フリーランス業務に追われ戦略が立てられない終章を読んで、思考の地図を自分に引いてみる

特に効果があるのは「問いを持って読む」ことです。読んで終わりにせず、章ごとの問いを「自分の現在の課題」に照らして使うと、実務への落とし込みが加速します。

10. 読後すぐに実践できる「5つの行動リスト」

  1. 今の仕事やプロジェクトについて「何のためにやっているのか?」を1文で書き出す
  2. それを達成するための“目標”と“手段”をそれぞれリストアップする
  3. チームメンバーと「目的→目標→手段」の共有ミーティングを行う
  4. 今月の行動計画を「目的に合致しているか?」の視点で点検し直す
  5. 書籍中の問いのひとつを選び、毎週の定例で全員が答えてみる

これらはすべて、すぐにノート一冊あれば始められるシンプルな行動です。しかし、効果は大きく、行動の質そのものが変わってきます。

11. まとめ:この本が挑戦に与える希望と再現性

本書が与えてくれる最大の価値は「どんな状況でも立ち戻る軸を持てること」です。

  • 行き詰まった時
  • 組織がバラバラになりそうな時
  • 新たなチャレンジに挑む時

「目的→目標→手段」という思考の型は、繰り返し活用可能で、あらゆるビジネスシーンに再現性を持ちます。

中小企業診断士として、これまで多数の事業者と向き合ってきた僕自身、この思考の型を無意識に活用してきました。それを言語化し、誰もが学べる形で提示してくれた本書は、まさに“ビジネスの基礎教養”と言える一冊です。

12. 書籍購入リンク

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