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1. この本を読むべき理由
起業に憧れはある。でも、何から始めればいいかわからない。
「資金がない」「アイデアが浮かばない」「今の仕事を辞めるのは不安だ」――
そんな気持ちを抱えている方に、まず伝えたい。
この本『起業は意志が10割』は、まさにそうした“踏み出せない人”のために書かれています。
ビジネスモデルも資金も、テクノロジーも、知識も、経験も、
それらが揃っていないことを理由に起業を遠ざけてしまう人は多いでしょう。
でも著者・守屋実さんは「すべては“意志”から始まる」と断言します。
起業家として30年間、企業内外での新規事業に携わってきた守屋さんだからこそ語れる、
リアルで実践的な起業論。そして何より、読む人の背中を本気で押してくれる力があります。
この本は、起業を「選ばれし人の特権」ではなく、
「誰もが挑める社会的アクション」として再定義する一冊です。
2. 書籍の概要:著者・出版背景・構成と対象読者
本書の著者・守屋実さんは、ミスミグループでの企業内起業に始まり、
起業専門会社「エムアウト」で100本以上の新規事業を立ち上げ、
その後もラクスル、ケアプロなどの起業に関与した“起業のプロ”。
出版背景としては、2020年以降のコロナ禍による社会変化――
「日常の変容」「オンライン化の加速」「不安と不便の爆発的出現」
こうした“時代の痛み”が起業のきっかけになりうると著者は説きます。
構成は大きく5章+終章で成り立っており、以下のような流れで進みます:
- 序章:ウィズコロナ時代の変化と起業機会の可視化
- 第1章:起業に必要な9つのポイント
- 第2章:これからの起業に必須の「新・三教科」
- 第3章:失敗を通じた学びの構造
- 第4章:実際の企業・スタートアップの挑戦事例
- 終章:起業の型を可視化し、再現性を持たせる方法
対象読者は、起業を考えているビジネスパーソンから、
すでに経営に関わる人、企業内で新規事業を担っている人まで幅広く想定されています。
3. 要点まとめ
起業は“意志”がすべての出発点
起業において、資金やスキルではなく「強い意志」こそが起点である。
ビジネスの世界では、考えたようにはならず、行ったようになる。
「絶対にこれをやりたい」という確信が、困難を乗り越える原動力となる。
“不”の解決こそが起業アイデアの宝庫
新規事業の種は「不便・不足・不満」に潜む。
コロナ禍で顕在化した“生活のズレ”や“社会的ボトルネック”を、
自らの体験から拾い、ビジネスに転換する視点を持つことが重要。
起業の3教科:新・道徳・国語・算数
これからの起業家に求められるのは、以下の3領域のアップデート:
- 新・道徳:信念の明確化と自己責任
- 新・国語:わかりやすく共感を生む言語化力
- 新・算数:ファクトと数字で意思決定する力
起業における“失敗”の捉え方
「失敗」は終わりではない。行動から得た失敗こそが知見を生む。
企業内新規事業、スタートアップ、組織間連携など、
多様な現場での失敗事例と学びを豊富に紹介している。
再現性ある起業の「型」は存在する
守屋氏の長年の試行錯誤から導かれた“型”が存在する。
具体的には「量稽古」「経験の可視化」「信頼の積み上げ」など、
どんなビジネスにも応用できる起業のフレームワークを提案している。
4. 印象に残った言葉・フレーズ
「人は、考えたようにはならない。おこなったようになる」
この一文は、本書全体のエッセンスとも言える一言です。
「準備が整ったら起業しよう」と思っているうちは、永遠に始まりません。
大切なのは“まず動くこと”。行動が現実を変える――
経営者として日々実感しているこの原則が、まさにここに凝縮されています。
「“不”を発見し、意志をもって挑める時代が来た」
著者は“問題発見”を価値創造のスタートラインと捉えます。
不便・不満・不平等などの“不”を見つける感度こそが、起業家の資質。
そして、何よりも「この課題を自分が解決するんだ」という意志が必要です。
5. 中小企業診断士としての考察・経営者視点での価値
僕自身、中小企業診断士として日々多くの経営者と対話していますが、
守屋さんの視点には深い共感があります。
特に印象的なのは、「顧客にとっての“価値”と“勝ち筋”を同時に定義せよ」という点。
起業アイデアを持っている人は多いのですが、
それが本当にお金を生み出すビジネスになるかどうかは、
“誰の何をどう変えるのか”を明確に言語化できるかどうかにかかっています。
本書は、「想い」だけではなく「戦略」にまで踏み込んでいる点で、
単なる精神論ではなく、極めて実践的な起業論です。
6. この本が挑戦者に与える影響・実践で活きる場面
本書は、読者に「今、動け!」と強烈に訴えかけます。
特に以下のような場面で、本書のメッセージが活きてきます:
- 会社の方針に違和感を感じ、独立を考えているとき
- 副業が伸び悩み、事業化のヒントを探しているとき
- 社内で新規事業を任され、手がかりを求めているとき
- 社会課題や地域課題を事業で解決したいと感じたとき
これらの読者にとって、本書は「武器」であり「地図」です。
「準備ができたら」ではなく、「まずやってみよう」と思わせてくれる。
その力強さがこの本の真骨頂だと感じました。
7. 誰におすすめか?どう使えば効果的か?
この本をおすすめしたいのは、次のような方々です:
- 起業を漠然と考えている20〜40代のビジネスパーソン
- 会社員としてキャリアにモヤモヤを抱えている人
- 社内新規事業に取り組む中間管理職
- 社会課題の解決を志すNPO、士業、専門職
本書は単なる読書で終えるのではなく、「ワークブック」として使うのが効果的です。
各章で語られるキーワードや問いに対し、自分の課題・感情・行動を照らし合わせながら、
一冊にマーカーや書き込みを入れて“起業の構想ノート”にしていくことをおすすめします。
8. 関連書籍との違いと併読提案
『起業の科学』(田所雅之)との違いは、守屋氏の本が「想いと行動」に強くフォーカスしている点です。
『起業の科学』がビジネスモデルの構築法やユーザー検証のフレームを教える「理論書」だとすれば、
本書は「心を動かす実践書」に近いです。
併読をおすすめしたい書籍:
- 『起業の科学』(田所雅之):ビジネス構築の型を学ぶ
- 『ゼロからはじめる起業の教科書』(今井孝):マインドと仕組みの融合
- 『サイコロジー・オブ・マネー』(モーガン・ハウセル):意志とお金の関係性を考える視点として
9. 読者の悩み別「この本の使い方ガイド」
読者の悩み | 本書の活用ポイント |
---|---|
「何をやりたいかわからない」 | 第1章「不の発見」と第2章「新・三教科」を深掘り |
「副業を本業にできるか不安」 | 第3章「失敗の許容と再定義」を読み込む |
「仲間が見つからない」 | 第1章「仲間と場所の力学」で他者の巻き込み方を学ぶ |
「資金が不安」 | 起業に必要なのは意志であり、資金は後で整うと説く全体構造 |
「社内起業に限界を感じる」 | 第4章のJRスタートアップ事例で突破口を探る |
10. 読後すぐに実践できる「5つの行動リスト」
- “不”を10個書き出す
自分や家族、職場で感じている「不便・不満・不足」を列挙しよう。 - 「意志が湧くテーマ」を見つける
その“不”の中から、特に強く改善したいと感じるものを1つ選ぶ。 - 仮説を立てて誰かに話す
「こんな課題に対して、こういう解決策があるかも」と口に出してみる。 - 週末だけでも試す
SNS発信、プロトタイプ作成、リサーチなど、最小の行動を始めてみる。 - 本書を再読して“型”をなぞる
章ごとの流れを再確認し、自分の行動と重ねながら整理する。
11. まとめ:この本が挑戦に与える希望と再現性
この本は、起業を“特別な才能のある人だけの世界”から解放してくれます。
むしろ、社会に対して「こうしたい」という意志を持つ人すべてが、
事業を通じて貢献できる可能性を提示してくれるのです。
起業とは「自分の想いを社会に問う行為」。
守屋さんの30年間の知見は、「誰もが挑戦者になれる」という証明でもあります。
そして、その挑戦は偶然ではなく「再現可能な型」にまで落とし込める。
この本に触れた人は、きっと次のような言葉を胸に刻むはずです。
「意志あるところに、道は拓ける」
起業に向けて、あなたも一歩踏み出してみませんか?