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マインドセット・自己啓発

『サイコロジー・オブ・マネー』書評|一生お金に困らない「富のマインドセット」を身につける実践読書【BookLog.17】

2025年4月17日

1. この本を読むべき理由

「もっと収入があれば人生は好転するはずだ」
「資産運用の勉強をしているのに、なぜかうまくいかない」
「お金を増やすことはできても、なぜか満たされない」

そんな違和感やモヤモヤを抱えている人にこそ、ぜひ読んでほしい一冊が、モーガン・ハウセルの『サイコロジー・オブ・マネー』です。

この本の核心は、タイトルの通り、「お金の話をする前に、“人間の心理”を理解せよ」という点にあります。
いくら知識があっても、合理的に動けるわけではない。
むしろ、心の動きがわかっていないと、合理性が仇になることもある。

これは、中小企業の経営にも、個人の資産形成にも、全く同じことが言えると僕は感じています。

事業をしていれば、売上や利益は当然大切。
でも、実際に経営が上向くかどうかは、数字の知識以上に、「どれだけ感情に振り回されないか」「意思決定の背景にある思い込みをどれだけコントロールできるか」にかかっています。

この本は、そんな“見えない心理の正体”を、驚くほど鮮やかに言語化してくれます。


2. 書籍の概要:著者・出版背景・構成と対象読者

『サイコロジー・オブ・マネー』(原題:The Psychology of Money)は、米国の投資家・金融ライターであるモーガン・ハウセルが2020年に出版し、世界的ベストセラーとなった書籍です。

著者は、投資信託運用会社「コラボレーティブ・ファンド」のパートナーであり、The Motley FoolやThe Wall Street Journalで多数のコラムを執筆してきた人物。彼の書く金融記事は、複雑な経済を平易な言葉で表現するスタイルに定評があり、「投資家よりも先に投資家の心を掴む」文筆家として知られています。

本書は全部で20章。どの章も、物語や実例を通じて「お金との付き合い方」の根幹をあぶり出します。すべて独立したエッセイ形式になっており、どこからでも読み始めることができる構成です。

想定読者はこんな人:

  • お金について「勉強しているのに成果が出ない」と悩んでいる個人
  • 資産運用を始めたが、感情に振り回されていると感じるビジネスパーソン
  • 経営者として社員の給与や投資判断に責任を持つ立場の人
  • 副業や起業にチャレンジしている若手世代

本書は、単なる投資本や経済入門書ではありません。
本質的には、「人間がどう意思決定を誤るのか」を、経済の文脈で考察する“行動経済学×金融リテラシー”の実践書なのです。


3. 要点まとめ

3-1. お金と賢さは比例しない:成功には「行動」が9割

著者ハウセルは、お金の世界では「賢さ=成功」ではないと断言します。
IQの高さやMBAの肩書きがあっても、金銭的成功には直結しない。

では、何が成功を左右するのか?
それは「自制心」「感情コントロール」「時間軸の長さ」といった、行動の積み重ねだと述べられています。

この視点は、事業経営でも極めて重要です。
どんなに市場分析ができても、冷静に意思決定できなければ意味がない。むしろ、感情に振り回された判断こそが経営を狂わせる。

3-2. 複利の魔法をなめるな:バフェットの富の本質

ウォーレン・バフェットの莫大な資産の95%以上は、65歳以降に生まれたもの。
これは彼の「才能」ではなく、「ひたすら投資を続ける」という“時間”の成果だと本書は語ります。

つまり、複利は「どれだけの期間、投資を続けられるか」が決め手。
ここでも、投資戦略やポートフォリオより、「継続できる精神構造」がものを言うのです。

これは、ビジネスにおける積み上げ型の価値創出にも通じます。

3-3. 見えない富こそが、本物の豊かさ

多くの人は“高級車”や“ブランド時計”に富を感じますが、ハウセルはこう指摘します。

「真の富とは、誰にも見えない形で存在するものである」

たとえば、貯金残高や自由に使える時間、安心して寝られる夜。
それらは“見えない”からこそ、外からはわかりにくいが、確実に人の幸福度を上げる。

この視点は、「外注もできるけど、自分でやった方が楽だから」と時間を売ってしまう起業家にも、深い気づきを与えるはずです。

3-4. 「合理的」より「納得感」ある選択を

ハウセルは、投資判断において「数学的な正解よりも、納得できる決断」が重要だと述べます。

人間は機械ではありません。
いくら期待値が高くても、不安で夜眠れないような投資をしていては、長く続けることはできない。

この考え方は、経営にもそのまま応用可能です。
数字だけでは割り切れない“感情の納得感”をどう扱うかが、組織マネジメントの分水嶺になります。


4. 印象に残った言葉・フレーズ(引用とその背景解説)

「お金とうまく付き合うには、頭の良さより、行動が大切だ」

この言葉は、本書の冒頭で紹介される「金貨を海に投げ捨てたIT起業家」と「清掃員のリード」の対比を通じて、非常に深く響きます。

一方は天才エンジニアで、もう一方は高卒の清掃員。
結果として、天才は破産し、清掃員は800万ドルもの資産を築いて死後に寄付しました。

行動の一貫性・倹約・複利の力。
それらが人生を決めるというリアルを、物語とともに突きつけてくれます。


5. 中小企業診断士としての考察・経営者視点での価値

僕は、中小企業診断士として数多くの経営者と対話してきましたが、「数字を理解しているのに、なぜか経営が安定しない」という悩みを持つ人は多くいます。

その原因の多くは、意思決定に「感情」が混じってしまうこと。
本書では、その「感情の構造」こそを丁寧にひもといてくれる。

特に以下の3つは、経営にも即効性のある視点です。

  • 人は過去の経験からしか判断できない(だから自分のレンズを疑うこと)
  • お金の使い方は「目的」ではなく「性格」が表れる(自社の経費を見直すヒントになる)
  • 富の可視化欲求(見栄)を捨てることで、自由な資本運用ができる(実際に資金繰りが改善した経営者を何人も見てきた)

6. この本が挑戦者に与える影響・実践で活きる場面

挑戦者とは、未知に挑む人のこと。
起業、副業、資産運用、新規事業など、「前例のない行動」を取ろうとするとき、最大の敵は外部環境ではなく、実は自分の“心”です。

本書を読めば、その“心のクセ”を俯瞰できます。

活きる場面の具体例:

  • 投資判断に迷っているとき
    感情と向き合う力が身につくことで、「続けられる投資戦略」が見えてきます。
  • 事業投資の是非を検討しているとき
    損得だけでなく、「それをやる自分を誇れるか?」という軸で判断できるようになります。
  • 組織における意思決定を下すとき
    部下にどう伝えるか、チームが納得できるか。感情設計の大切さが腹落ちします。

7. 誰におすすめか?どう使えば効果的か?

この本は、資産形成を学びたいすべての人に有効ですが、特に以下の人に刺さります。

✔ 起業志望者・個人事業主

「成功すれば報われる」と信じたい気持ちはわかります。でも、実際の世界はそう単純ではない。
成功には「運」と「行動の継続力」が絡む。その現実を優しく、でも鋭く伝えてくれます。

✔ 経営者・士業

あなたが社員や顧問先に提供するアドバイスに、無意識のバイアスがかかっている可能性はありませんか?
本書を読むことで、より本質的な問いかけができるようになります。

✔ ファイナンシャルリテラシーを高めたい人

NISA、iDeCo、インデックス投資など、道具はあっても「心の使い方」がわからないと運用は続きません。
この本は、投資を始めた人の“次の壁”を超えるための指南書になります。


8. 関連書籍との違いと併読提案

本書と比較して読んでほしいのが、以下の2冊です。

『バビロン大富豪の教え』

「貯める・守る・増やす」の三本柱を説く名著ですが、やや理想論的な部分も。
『サイコロジー・オブ・マネー』は、もっと「人間くささ」に根差していて、心に沁みます。

『敗者のゲーム』(チャールズ・エリス)

投資の本質は「勝つことより、負けないこと」。
行動経済学的な視点から見ると、本書と極めて親和性が高いです。


9. 読者の悩み別「この本の使い方ガイド」

悩み読むべき章目的
投資が怖くて始められない第2章:運とリスク「成功=実力」と思い込む危険を知る
頑張っても満たされない第3章:決して満足できない人たち欲望と幸福感の非対称を理解する
長期視点が持てない第4章:複利の魔法バフェットの本当の強みを知る
他人の目が気になる第8章:高級車のパラドックス見栄と消費の関係を断ち切るヒント
資産を守る視点がない第5章:裕福であり続ける技術継続こそ最強の戦略だと理解する

10. 読後すぐに実践できる「5つの行動リスト」

  1. 「見えない富」を意識して貯金習慣を整える
    • 他人に見せるお金より、自分が安心できるお金を優先しよう。
  2. 「長期投資=時間を味方にするゲーム」と捉え直す
    • 投資信託やNISAなど、自動的に続く仕組みに乗せる。
  3. 収入に余裕が出ても、生活レベルを上げないと決める
    • リードのように、“増やす”より“守る”習慣を持つ。
  4. 人の成功例を真に受けすぎない
    • 成功の裏にある「見えない運」と「再現性の低さ」を意識。
  5. 「合理性」ではなく「納得感」で判断する癖をつける
    • 自分が続けられる方法を選ぶ。完璧より継続。

11. まとめ:この本が挑戦に与える希望と再現性

『サイコロジー・オブ・マネー』は、「賢さ」や「戦略」ではなく、「行動」と「心理」に光を当ててくれる稀有な一冊です。

だからこそ、特別な知識やスキルがなくても、だれもが「お金とより良く付き合う方法」を手にすることができる。

本書が教えてくれるのは、「知識ではなく、態度を変えろ」ということ。
一貫性と自制心、納得感のある判断、そして“見えない富”の価値。

それらを理解し、少しずつ自分に取り入れていけば、僕たちはもっと安心して、自由に挑戦できるようになるはずです。


12. 書籍購入リンク

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